「野菜をもっと食べてください」——健康診断でそう言われた方は多いはずです。ビタミンA・C・Dは意識していても、ビタミンKについては名前すら聞き慣れないという方も少なくないのではないでしょうか。
実はビタミンKは、血液凝固や骨の健康維持に関わる重要な栄養素です。そして緑黄色野菜に特に多く含まれており、青汁の原料として知られる大麦若葉(粉末)100gあたり約3,100μg、ケール(生)100gあたり約210μgという値が示されています(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)。
この記事では、ビタミンKの基礎知識・多く含まれる食品・不足しやすい人の特徴・効率的な摂り方を解説します。
この記事で分かること
- ビタミンKの2つの種類(K1・K2)と主な働き
- ビタミンKが多い食品の一覧と含有量
- 1日の目安量と不足しやすい人の特徴
- ビタミンKを効率よく摂るための4つのポイント
- ワーファリン服用中の方への注意点
ビタミンKの基礎知識
ビタミンKの2つの種類
ビタミンKには、大きく分けてK1(フィロキノン)とK2(メナキノン)の2種類があります。
| 種類 | 正式名 | 主な供給源 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ビタミンK1 | フィロキノン | 緑黄色野菜、海藻類 | 植物由来・食事での主な摂取源 |
| ビタミンK2 | メナキノン | 納豆、チーズ、肉類 | 腸内細菌が合成・納豆に特に豊富 |
食事から摂取するビタミンKの多くはK1(フィロキノン)で、ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなどの緑黄色野菜に豊富です。K2は納豆に特に多く含まれることで知られています。
K2のなかでも納豆に含まれるメナキノン-7(MK-7)は体内での持続時間が長く、骨の健康維持への関与について研究が進んでいます。
ビタミンKの2つの主な働き
正常な血液凝固への関与
ビタミンKは、血液の凝固に必要なたんぱく質の生成に関わっています。「K」の名前は、ドイツ語で凝固を意味する「Koagulation」に由来します。出血したときに血が止まる仕組みに、ビタミンKは欠かせない存在です。
ビタミンKが関与する主な凝固因子は、プロトロンビン(第II因子)・第VII因子・第IX因子・第X因子などです。これらの因子を「Kビタミン依存性凝固因子」と呼びます。
骨の健康維持への関与
ビタミンKは、骨に存在するたんぱく質(オステオカルシン)の活性化に関わっており、カルシウムが骨に沈着するのを助けています。カルシウムだけでなく、ビタミンKも骨の健康維持に重要な役割を果たしているのです。
骨の健康には「カルシウム + ビタミンD + ビタミンK」の3つをバランスよく摂取することが大切とされています。カルシウムを摂っていてもビタミンKが不足すると、骨へのカルシウム沈着が不十分になる可能性があります。
ビタミンKが多く含まれる食品
食品別のビタミンK含有量
| 食品 | ビタミンK含有量(100gあたり) |
|---|---|
| 大麦若葉(粉末) | 約3,100μg |
| 納豆 | 600μg |
| 春菊(ゆで) | 460μg |
| モロヘイヤ(ゆで) | 450μg |
| ほうれん草(ゆで) | 320μg |
| 小松菜(ゆで) | 320μg |
| ケール(生) | 約210μg |
| ブロッコリー(ゆで) | 150μg |
| 乾燥わかめ(水戻し) | 150μg |
| パセリ(生) | 850μg |
出典: 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を基に作成
緑黄色野菜と納豆がビタミンKの主要な供給源です。青汁の原料として使われる大麦若葉やケールにも、ビタミンKが豊富に含まれている点は注目に値します。
大麦若葉(粉末)は100gあたりの含有量が非常に多いですが、実際に一度に摂る量は5〜10g程度であることに注意が必要です。1食あたりに換算すると、大麦若葉粉末5gで約155μg程度のビタミンKを摂取できる計算になります。
ビタミンKを多く含む食品の組み合わせ例
| 食事の組み合わせ | ビタミンK摂取量の目安 |
|---|---|
| ほうれん草の炒め物(100g)+ 納豆(50g) | 約320μg + 約300μg = 約620μg |
| 小松菜の味噌汁(50g)+ 青汁タブレット | 約160μg + 青汁分 |
| ブロッコリーのサラダ(80g)+ 海藻サラダ | 約120μg + 海藻分 |
1日の摂取目安量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、ビタミンKの1日の目安量は以下の通りです。
| 性別 | 目安量(18歳以上) |
|---|---|
| 男性 | 150μg |
| 女性 | 150μg |
日本人は納豆を食べる習慣がある方も多いため、他のビタミンに比べると不足しにくいとされています。納豆1パック(約50g)で約300μgのビタミンKを摂取でき、1パックで1日の目安量を十分にカバーできます。
ただし、納豆や緑黄色野菜をほとんど食べない方は、ビタミンKが不足するリスクがあるため注意が必要です。
ビタミンKは食品から摂りやすい栄養素
ビタミンKは緑黄色野菜に広く含まれており、バランスの良い食事を続けていれば不足しにくい栄養素です。ただし、外食が多い・野菜嫌い・偏食がちという方は意識的に摂取を心がける必要があります。
ビタミンKが不足しやすい人
野菜の摂取量が少ない人
緑黄色野菜をあまり食べない食生活が続くと、ビタミンKの摂取量も不足しがちです。外食中心で野菜が少ない食事パターンの方は特に注意が必要です。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、成人の野菜摂取量の平均は目標値(350g)を大きく下回っており、緑黄色野菜に偏りのある食事が続く方も少なくありません。
偏食がちな人
特定の食品ばかり食べる偏食の方は、ビタミンKに限らず栄養素のバランスが崩れやすくなります。子供の野菜嫌いも、この栄養素の不足につながる場合があります。
納豆が苦手な人
ビタミンKの効率的な供給源である納豆が苦手な方は、緑黄色野菜から意識的に摂る必要があります。関西地方では納豆を食べる習慣が少ないとも言われており、地域差も影響する可能性があります。
新生児
新生児はビタミンKの体内蓄積量が少なく、母乳中のビタミンK含有量も多くないため、出生後にビタミンKシロップを投与することが一般的です。これは新生児メレナ(消化管出血)を予防するために行われます。
抗生物質を長期服用している人
腸内細菌もビタミンKの一部を合成しますが、抗生物質の長期服用によって腸内細菌叢が乱れると、ビタミンKの合成量が減少することがあります。
ビタミンKを効率よく摂るための4つのポイント
ポイント1:緑黄色野菜を毎日の食事に
ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜を毎食1品取り入れることを意識しましょう。冷凍ほうれん草やカットブロッコリーを常備しておくと、忙しい日でも手軽に取り入れられます。
特に朝食に緑黄色野菜を取り入れる習慣を作ると、1日のビタミンK摂取量が安定しやすくなります。
ポイント2:油と一緒に摂ると吸収率アップ
ビタミンKは脂溶性ビタミンです。油で炒めたり、ドレッシングをかけたりして、油脂と一緒に摂取すると吸収率が高まります。生野菜のサラダよりも、炒め物やソテーの方が効率的です。
ただし、油の過剰摂取はカロリーオーバーにつながるため、小さじ1杯程度の少量を意識して使うのがおすすめです。
ポイント3:納豆を活用する
納豆が食べられる方にとっては、最も効率的なビタミンK供給源です。朝食に納豆を1パック加えるだけで、1日の目安量をクリアできます。納豆にはビタミンK2(メナキノン)が豊富で、K1とは異なる特性を持つため、両方からバランスよく摂ることが理想的です。
ポイント4:青汁で補助的に摂取
日常的に緑黄色野菜が不足しがちな方にとって、大麦若葉やケールを原料とした青汁は補助的なビタミンK摂取手段のひとつです。タブレットタイプなら水不要で手軽に続けられます。
ただし、ワーファリン(抗凝固薬)を服用中の方は、青汁のビタミンK含有量に注意が必要です。必ず主治医にご相談ください。
ワーファリン服用中の方への注意
ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している方は、ビタミンKの摂取量に特別な注意が必要です。ビタミンKはワーファリンの作用を弱める可能性があるため、大量の緑黄色野菜や納豆を食べる場合は、必ず主治医に相談してください。
青汁や青汁タブレットも大麦若葉・ケールを原料としており、ビタミンKが含まれています。ワーファリン服用中の方は、使用前に必ずかかりつけの医師にご相談ください。
ビタミンKとワーファリンの相互作用は医学的に確立されており、摂取量の急激な変化(増減)は薬の効果に影響します。毎日の摂取量をなるべく一定に保つことが大切です。
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Q1. ビタミンKは摂りすぎても大丈夫ですか?
ビタミンKは脂溶性ビタミンですが、現時点では過剰摂取による健康被害の報告は少なく、食事摂取基準でも耐容上限量は設定されていません。ただし、ワーファリン服用中の方は摂取量の管理が必要です。通常の食事から摂取する範囲では、過剰摂取の心配はほとんど不要です。
Q2. ビタミンKとカルシウムの関係は?
ビタミンKはカルシウムが骨に沈着するのを助ける働きがあります。骨の健康を維持するには、カルシウムだけでなくビタミンKも一緒に摂ることが大切です。ビタミンDも吸収を助けるため、3つの栄養素を意識するとよいでしょう。
Q3. 納豆以外でビタミンKを効率よく摂る方法は?
ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜を油で炒めて食べるのが効率的です。脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。手軽に補いたい場合は、大麦若葉やケールを原料とした青汁も選択肢のひとつです。
Q4. ビタミンK1とK2はどちらを優先して摂るべきですか?
食事から摂るビタミンKの多くはK1です。K2(特にMK-7)は体内での持続時間が長く、骨の健康維持との関連について研究が進んでいますが、一般的にはK1とK2をバランスよく摂ることが推奨されます。緑黄色野菜(K1)と納豆(K2)の両方を意識的に食事に取り入れることが理想的です。
Q5. 子供にもビタミンKは必要ですか?
はい、必要です。子供の場合は成長に伴い骨の発達が重要な時期であるため、ビタミンKを含む緑黄色野菜を食事に取り入れることが大切です。新生児については、ビタミンKシロップの投与が医療機関で行われることが一般的です。
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参考情報
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
- 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」
まとめ
ビタミンKは、正常な血液凝固や骨の健康維持に関わる脂溶性ビタミンです。緑黄色野菜や納豆に多く含まれており、バランスの良い食事を心がけていれば通常は不足しにくい栄養素です。
ビタミンKにはK1(植物由来)とK2(納豆・発酵食品由来)の2種類があり、それぞれ異なる食品から摂取できます。特に骨の健康が気になる方は、緑黄色野菜だけでなく、納豆も積極的に取り入れることをおすすめします。
野菜を食べる機会が少ない方や偏食がちな方は、意識的に緑黄色野菜を取り入れることが大切です。油と一緒に調理すると吸収率がアップするので、炒め物やソテーがおすすめ。食事だけで十分な量を摂るのが難しい場合は、大麦若葉やケールを原料とした青汁タブレットを活用するのもひとつの方法です。
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